僕と君の間にあるもので世界をかえることについて

アニメ『輪るピングドラム』を巡る考察的な何か

手と手と、万有引力と、林檎の話。

イクニ監督は、よく『手と手』を描かれます。『輪るピングドラム』DVD/BDの最終巻のジャケットデザインは、手と手の間に林檎が描かれていました。

監督に大きな影響を与えている寺山修司
彼の没後、意志を引き継ぐ形で結成されたのが『演劇実験室万有引力 』という劇団です。ウテナに楽曲を提供されたJ・A・シーザー氏が率いています。
で、その『万有引力』は寺山の<万有引力とは人間同士が互いに引き合う孤独の力のことである>という言葉からきていて、さらに元を辿ると、寺山と親しかった詩人・谷川俊太郎氏の『二十億光年の孤独』という詩からの引用です。

万有引力とは
ひき合う孤独の力である
 
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う
 
宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である


谷川俊太郎『二十億光年の孤独』より(一部)

イクニ監督の描く『手と手』の間には、運命に抗って繋がろうとする力が働いています。それが<孤独の力>です。その具象として、ニュートンが万有引力を思いついたきっかけとされる<林檎>が描かれたのではないでしょうか。

そしてそれは、アダムとイヴの食べた智慧の実や、ジョバンニとカムパネルラが銀河鉄道の中で手に入れた林檎へと繋がり…

DVD/BDの1巻インタビューでの監督の言葉『最後に。「ピングドラム」は抽象の概念ではなく、物体として登場するよ。お楽しみに。』が、ずっと気になっていました。

見えないけど、確かにそこにある。
あるから、私たちはこうして存在している。

「物体として登場する」とは、多分、こういうことなんだと私は思う。 
 
 

 

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