僕と君の間にあるもので世界をかえることについて

アニメ『輪るピングドラム』を巡る考察的な何か

2011-12-28から1日間の記事一覧

Opening or Ending

「だからさ、苹果は宇宙そのものなんだよ。 手のひらに乗る宇宙。この世界とあっちの世界を繋ぐものだよ」 「あっちの世界?」 「カムパネルラや、他の乗客が向かってる世界だよ」 「それと苹果になんの関係があるんだ?」 「つまり、苹果は愛による死を自ら…

僕と君の間にあるもので世界をかえることについて

Opening or Ending愛の話をしよう Ⅰ HOMEのかたち―ディストピアとユートピア Ⅱ 自己犠牲のヤな感じ―カムパネルラの限界 Ⅲ 輪るピングドラムの贈与論イマージーン! Ⅰ きっと何者にもなれないお前たちに告げること Ⅱ 灰色の水曜日の幸福論(改訂中) Ⅲ 世…

Ⅰ HOMEのかたち ―ディストピアとユートピア

『輪るピングドラム』には様々な家庭が描かれますが、いわゆる一般的に理想だと思われる姿は一切出てきません。高倉家は一見理想的な家庭でしたが、両親は犯罪者であり、彼らを置き去りにして消えてしまいます。荻野目家では、死んだ桃果を巡る夫婦のすれ違…

Ⅱ 自己犠牲のヤな感じ―カムパネルラの限界

アニメのモチーフとなった『銀河鉄道の夜』を書いた宮沢賢治は、ある信念のために生きて死んだ人でした。それは 世界ぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない (農民芸術概論/宮沢賢治) ということです。普通に考えれば絶対無理だろwwww …

Ⅲ 輪るピングドラムの贈与論

<贈与>を<贈り物>にして考えてみましょう、プレゼントです。 あなたが誰かから<贈り物>を貰ったとします。そのお返しをしなくてはならないと考えるでしょう。 そして返すものは同等?いえ、感謝の気持ちを込めてそれ以上のものをと考えるのではないで…

Ⅰ きっと何者にもなれないお前たちに告げること

生存―戦略―!という謎の叫びと共に、死んだはずの陽毬が起き上がって私たち(冠葉や晶馬含め)を引きずり込んだ不思議空間クリスタル・ワールドは、もうひとつの<氷の世界>です。 あそこに物語の2つめの鍵『信じること』があります。 イマージーン! きっと…

Ⅱ 灰色の水曜日の幸福論

※改訂中 「何百万の星のどれかに咲いているたった一輪の星をながめるだけでしあわせだ」とサン・テクジュペリの星の王子さまは言っている。だが「見えないものを見る」という哲学が、「見えるものを見ない」ことによって幸福論の緒口をつなごうとしているのだ…

Ⅲ 世界の果てまで連れてって

※寺山修司の幸福論について。まとめ中世界の果て。イクニ監督が行き詰まった時、限界、絶望のことをそう呼ぶのだそうです。これ言葉は寺山修司の言う<世界の涯>と同じものと考えていいと思います。 (涯:「はて」、水際・岸といった語源から転じて「果て…

Ⅰ 忘却された者による地下からのクーデター:反復する95

地下深くにある図書館に迷い込んだ陽毬が探す『かえる君、東京を救う』。これは『神の子どもたちはみな踊る』に収録されている、実在する短編小説『かえるくん、東京を救う』です。著者の村上春樹は1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件に強い関心を示し、…

Ⅱ 忘却された者による地下からのクーデター:氷の世界

テロの首謀者・渡瀬眞悧は、物語のあちこちに登場する重要なキャラクターである割に、個人的なことはアニメでほとんど明かされませんでした。それは彼がいわば個ではなく、地下61階の<みみずくん>だからと考えて良いのではないでしょうか。 彼は渡瀬眞悧の…

Ⅲ ヒーローを葬り去れ:博士消滅、選ばれし者の退場

『かえるくん、東京を救う』の最後、<かえるくん>は非かえるくん(みみずくん)となりました。片桐はもう、かえるくんの存在が夢だったのか現実だったのかわかりません。『目に見えるものがほんとうのものとは限らない』しかし彼との記憶が確かに残っている…

Ⅰ 黄金の苹果

結局、ピングドラムとは一体何なのか。 それを考える前にまず『銀河鉄道の夜』の苹果についてお話します。 『銀河鉄道の夜』でジョバンニたちが<苹果>を手にするのは、沈没船の悲劇を聞いた直後です。同じく話を聞いていた燈台守から、沈没船の3人とジョバ…

Ⅱ スズの兵隊の燃え残った心臓を握り締めて

宮沢賢治やその著作を語るとき<罪悪感>というキーワードは欠かせません。自分が生きていること自体が罪なのだという意識。『輪るピングドラム』では特に晶馬が抱えていたもの。アニメの中にも出てきた『生きることは罰』です。賢治は貧しい農民たちが生き…

Ⅲ チェンジ・ザ・ワールド!

全てを<独り>で抱え込み、<自己犠牲>の道を選んだ冠葉。 <生きることの罪>への罰を恐れ、<見ないふり>してた晶馬。 人生を諦め<ただ与えられるだけ>の女の子だった陽毬。 そのままではサネトシの予言の通り、誰も幸せになれなかったでしょう。 『…

Ⅳ 運命の果実を一緒に食べよう

もうけつしてさびしくはない なんべんさびしくないと云つたとこで またさびしくなるのはきまつてゐる けれどもここはこれでいいのだ すべてさびしさと悲傷とを焚いて ひとは透明な軌道をすすむ (宮沢賢治『春と修羅』小岩井農場) 『運命の果実を、一緒に食べ…

Ending or Opening

どうせお芝居なのさ ゆめから抜け出せずに 星の王子さま いまでも読む子よ 夜空を仰ごう 言葉が 死ぬとき めざめる 世界がある お芝居は 終わっても 夜空は 終らない(寺山修司『星の王子さま』) CASTジョバンニ:晶馬 カムパネルラ:冠葉/真砂子 沈没船の…